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雄大さと繊細さを備えた
クスノキの美しさを目指して

樹々の状態を知り、適切な処置をして健康を保つ木のお医者さん・樹木医 後藤瑞穂さん。ハリウッドの創業夫婦も草木を愛し、自庭を手入れしながら自然の育みをヒントに美容業界に勤しみました。まだ数少ない女性の樹木医として、また経営者としてもエネルギッシュに奮闘する後藤さんに、ご自身のライフスタイルについてお聞きしました。

樹々の健康に寄りそい全国を飛び回る理由

樹木医のお仕事について教えてください。

樹木も私たちと同じで怪我をしたり病気になったりするので、樹木医はその診断・治療を行います。公共の仕事のほかに最近は企業や個人のお客様も多く、思い出のつまった大切な木などを診る機会が多いですね。外観診断と専用の機器を使い精密診断も行います。それを元にカルテと治療のための処方箋も作成します。木の寿命は人より長いので、3年など長期スパンで治療することも少なくありません。長いお付き合いになりますし、樹木は病院(会社)に来てくれないので、すべて往診になるため結果的に全国を飛び回っています。

あと最近はサーキュラーエコノミーに関連する商品開発も行っています。その中でも「KAFUポットプランター」は、園芸業界の悩みの種である根腐れの問題を解決するフラワーポットです。スタイリッシュで機能美も備えており、紙由来なので最後は可燃物として廃棄もできるように開発しました。

仕事で大切にしていることはなんですか?

スタッフが5名いるのですが、8時半からの朝礼は、デスクワークの時でも往診へ行く時でも、毎日欠かさずに行っています。メンバーはみんな女性で、彼女達が働きやすいように、コロナ禍前から完全テレワークです。直接顔を合わせることが普段ありませんので、朝の何分かはできるだけ顔を見て言葉を交わすようにしています。優秀なスタッフたちのおかげで成り立っています。そして最も大切にしているのは仕事の内容により優劣をつけずに「先約優先」を心がけることです。

紫外線をガードしながら樹々の恩恵を感じている

美容や健康のために心掛けていることはありますか?

二度寝はせず、自然に目が覚めた時間に起きるようにしています。起きたら窓を開けて朝の空気を入れて、体を目覚めさせるために朝日を浴びるのが日課です。あとは屋外の仕事なので紫外線対策が欠かせません。日焼け止めを塗り、移動時間はサングラス。そして草木に手を入れるのでいつも長袖でいます。

元気でいられるのはやっぱり樹々に囲まれているからだと思います。樹木に囲まれると健康になるというのは医学的に証明されていて、緑を目にすると心や体の緊張をゆるめる効果があるそうです。その恩恵にすごくあずかっています。

雄大にして繊細そして打たれ強いクスノキの美

メイ牛山は、花や樹々などの植物を日々の生活だけなくファッションやメイクにも取り入れましたが、どのような人を美しいと思いますか?

ハリウッドさんは、昔から会社に大きな樹木のガーデンを維持し続けているのはすばらしいことです。私が美しいと思うのはクスノキのような人です。雄大で全体はふわっと丸く美しいフォルムを描いているけれど、1枚1枚の葉っぱは繊細な形をしています。もともと防虫剤の原料使われるほど抗菌成分が優れていて、打たれ強くて回復力も早いのです。

それからアフリカのことわざに「太陽はひざまずいている者より立っている者を先に照らす」という言葉があるのですが、困難があってもすぐに起き上がれるような人を美しいと思います。

最後に、これからの目標について教えてください。

ラオスでポンガミアというマメ科の植物でバイオ燃料を作るプロジェクトの技術指導をすることになりました。樹木がもたらすご縁によって、関わる仕事がどんどん広がっていくのを感じています。樹木医は私の天職です。今はまだあまり知られていない職業ですが、かつては獣医も今ほど認知されていませんでした。樹木を人間の大切なパートナーとして、樹木医がケアすることが普通になる未来を作るのが目標です。

PROFILE

プロフィール

後藤 瑞穂

ごとう みずほ

1968年生まれ、熊本県出身。2001年、熊本県で女性第1号の樹木医となる。2007年より株式会社木風(こふう)を設立し、樹木診断機器「ピカス」を日本で最初に導入。サーキュラーエコノミーに関わる商品開発や、樹木医の育成、樹木遺産プロジェクトなどに取り組む。著書に「樹を診る女のつぶやき」(熊日出版)

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